後姿/
リリー
玉ねぎを薄切りにする
辛さと
人参を薄くそぐ
暖かい朱色と
さやえんどうを茹でて塩をかける
平和さに
じぶんの後姿をみたいと希う
鍋に湯がたぎる
湯気の中に差し出す顔は
武装した前向きの顔じゃなくて
冷えた心の
次第次第ほぐれていく
一人きりの頬笑み
ささやかなスープを作る
なべの中に
溶け出す 心
今の わたしの背中を想像してみる時、
それはいつも
頼りなげに浮ぶ
影の様な不安が消えた
見知らぬ 童女かもしれないと思うのだ
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