無精卵は孵らない/
 
東京の街へは二度と来るものか

、と誓った夏の終わりの東京。
ノンアルコールを片手に私はヤモリだった。

   * * *

「あれ? 未成年だっけ?」(大人の男の人の声)が私に当たる
私は空気を震わせる
「東京の学校へは来ないの?」(大人の男の人の声)が私に当たる
私は空気を震わせた
――誰だろう。審査員ではないようだが……

  〈ピリオドが現れていた。呼吸は呼吸でしかない。
   ピリオドは ただそこに在る〉

視界の端にいた男が動き出す
ワインを持った男たちの中へ
するすると流れ込み、溶け合い
暗色の
どろどろとしたモノがつくりあげられて
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