入退院後の日記/由比良 倖
完全に正常、という世界に、これまでずっと生きてきたような。一面的には、世界は完全に継ぎ接ぎだけれど、継ぎ接ぎなりに世界は完結している。出鱈目な継ぎ接ぎや、僕の自分勝手な継ぎ接ぎ。それぞれの継ぎ接ぎの一部一部が、でも、今こうやって遠くから眺めていると、けっこう美しいな、とか、妙なことを考えていたと思う。
言葉……。「言葉」っていう単語はとても美しい。ということを、繰り返し脈絡もなく考えていた。
1月24日(水)、
誰からも好かれないことではなく、誰も好きになれないことが、本当の絶望だと思う。
彼らは僕に語りかけている。オレンジ色の空に賛辞を送る。けれど多分、空は賛辞の言
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