セフィニ/レタス
一滴(ひとしずく)の涙が
渓流(たに)となり
やがて河となって海に溶けてゆく
若かったあの頃はとても純粋で
年が経つほどに灰色になって
ぼくには些細なことが当たり前になった
もう一度戻れるのなら
貧しくてもよかったあの頃に戻りたい
抱きしめたくても
きみへの路は遠すぎて
冬の星空に手を伸ばしても
届くはずもない
夢の中できみは眠れる森の少女のままで
ぼくは痩せたノラ猫のように震えていた
もう幕は下りたというのに
※セフィニ フランス語で お終い 終わりなどという言葉です。
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