火だるまパンツ事件。/田中宏輔
 
て、パンツが火だるまになりました。おそらく、有機溶媒か何かが滲み込んでいたのでしょう。パンツは勢いよく燃え上がりました。相棒は、そのときのことを、翌朝一番に、研究室のみんなに話しました。それが、「火だるまパンツ事件。」の顛末です。一躍、噂の人となりました。あれから、ずいぶんと経ちますのに、研究室では、いまだに話の種になっているのだそうです。
 そして、ぼくは、いままた、パンツをすり下ろし損ねたのです。困っています。どうしようか、迷っているのです。ポケットのなかの百円ライターを使ったものかどうかを。










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