私のための祈り/佐々宝砂
 
真っ黒になったカラスノエンドウのさや。種をはじき飛ばしてすっかりカラになったアブラナ。せわしなく水面をつつくカワウ。珍しく亀が集団で岸にいる、なんだろうと思ってそばに寄ると、そこには鯉の死骸があった。そういえばこの亀は肉食なのだと私は思い出す。

私は私を愛せるだろうか、私はこの群に交じれるのだろうか、実はそれがいちばん困難なことだという気がする。

しかしとにもかくにも私はすべてが好きだ、そのように決めたのだから。土手沿いに捨てられた不法廃棄物の山がくすぶっている、その悪臭さえ、私は愛すると決めたのだから。

さよならを言う権利さえ、私にはないのだ。
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