感謝/
野島せりか
交じり合う気持ちは
まるで砂時計のよう
かわるがわる満たし合う
でも いつのまにか
私の方が落ちて行く
いつだって空っぽ
返されないままに
「今夜は飲み明かそう」
と あなたが言い
物憂げに新しいタバコに火をつけた
男と女の会話をふり返るのは
女の復習だけじゃなく
私からあなたへの敬意
あなたは知るはずもないけれど
毎晩私の心の中で思い出し
まだ現実になっていない私達の関係に
静かに感謝していた
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