【映画の中の詩】欲望という名の電車/藤原 実
 
とか、そんな理由のつけられる愛し方ではなくて、「ただ愛のためにのみ愛して欲しい」と訴えかける、ソネット14。

これはまさにブランチの願いそのものではないでしょうか。しかし、映画は残酷な結末を迎えます。

そのような永遠の愛などは望んでも得られるはずもなく、スタンリーにすべてを暴露されてミッチーは去り、ブランチは精神の均衡を失っていき、やがて崩壊してしまうのでした。

そして映画を離れて現実に戻った時、この映画で『風と共に去りぬ』に続いて二度目のアカデミー主演女優賞を受賞したヴィヴィアン・リーの演技はもちろん素晴らしいのですが、彼女自身が実際に苦しみ続けた心の病と重なってしまい、痛ましい思いを抱いてしまうことは避けられないのです。

参考リンク:
【映画の中の詩】『白い蘭』(1934) https://note.com/pesyankoitigo/n/n0c606dd96a8a
『十四行詩(ソネット)―ポルトガル語からの―』(石井正之助訳) 世界詩人全集 第3巻 河出書房 https://dl.ndl.go.jp/pid/1335731/1/91



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