ひげ茶/春日線香
都で流行っているひげ茶です
これはご丁寧にどうも
と、そのような取引があってから
何度か顔を洗って
学校にも行きました
戦争があったかもしれません
泣いて帰って戸棚を開けて
ざざーっと海の音をさせて
とろとろ煮出して飲むと
これはこれでおいしいような
いやこれはかなりおいしいぞ、と
血眼で電話して
そんならまた持っていきます
そう仰っていたのに
もうあれから二度と来なくて
死霊の国と現世との間にある
大岩をごつごつ叩いて
あのお茶
あのお茶でないと駄目なんです
聞こえていますか
あなたが千人を殺すなら
わたしは千五百人を生んでみせましょう
その前にもう一杯お茶が
あのお茶がほしい
ここらで一杯ひげ茶がほしい
はやく
はやく
生きてる間にひげ茶がほしい
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