Lの昇天?/朧月夜
 
*夜明け


 ニュース屋が言ったように、一面識もない人間の生死のことなど、他人が分かるものなのだろうか。そう考えながら、Lは夜の間も歩き続けていた。S市の繁華街はそれほど広くはない、いつの間にかY山の麓付近を歩いている。Y山はS市のほぼ中央にある小高い山で、昔はこの上に山城が築かれていた。今では大学のキャンバスになっている。

(何も考えまいと努めていたはずなのに……)

 色々と多くのことを考えてしまっている、そうLは思った。それに、死ぬといっても本当に今日死ななくてはいけないのだろうか。あるいは、これも病気の一つの症状なのではないだろうか。うつ病の患者はしきりに自殺した
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