箪笥/春日線香
 
箪笥の中で眠っているといろんなことを思い出す。外では送電線がぶんぶん唸っているので余計にそうだ。そのうちまた学生服を着た鶏のような女がやってきて、箪笥ごと海に運ばれるのだろうけれど、今はまだ真夜中の最初のほう。まんじゅうを蒸して転がしたり、古い地蔵と笑ったりしていたい。
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