師走雑感/そらの珊瑚
 
寒さと賑やかさが混然とした師走だった
子どもたちは家の手伝いを請け負う
障子に貼られた紙をビリビリに破ることほど
心躍るものはなかった
 平素子どもたちは無自覚に平凡で暇だったから
洗われて骨組みになった障子から見る庭は
あっけらかんと冬の始まりだった
畳は大人たちによって庭に運ばれ
現れた板の間に敷かれた新聞紙は
一年間の仕事を無事終えた
仏壇から降ろされる位牌や知らない人の写真立て、
金属製の花やらの埃を拭く
まるで空き家になった仏壇という小さな家を覗けば
その仄暗い奥が何処にも繋がっていないことに安堵した

仏壇に供えてあった
黄色やピンクに彩色された
花形の砂糖菓子は
子どもたちのおやつになった
庭に出てそれをかじる
砂糖だ!
砂糖まるかじりだ!
歯を溶かしそうな甘味に笑い合う
無自覚に平凡な私たちは
ぼろぼろと砂糖のかけらを落としながら
さらさらと時間のかけらを落としながら
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