紙飛行機。/天使
ビルとビルのあいだを、風が抜けていく。
僕はビルの屋上から、紙飛行機を飛ばした。
ビューっと飛んでいく紙飛行機。
ビルとビルの間も、木と木の間も。人と人の間も。
抜けていく。
ただ、まっすぐ飛んで、青い空を引き裂いた。
僕らが望む夢の空を引き裂いて、
「現実」の空を見せてくれた。
あんなに綺麗な青空だったのに、今はまるで別世界。
ただ僕らは、空に願いをこめていた。
ただ僕らは、空に夢を抱いていた。
ただ僕らは、見て見ぬふりをしてきた。
そんな「現実」を見た僕たちは、そんな重みに耐えられない。
ただ、逃げて、逃げて・・・逃げることしか出来ない。
だけど、それじゃいけないん
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