砂丘/
たもつ
椅子の気配
水路の抜け殻は
朝屑になる
地図だけの
詰将棋を終えて
歩道の色に
傘を落とした
外周
その抜け道
地下鉄に乗るよ
その言葉で
撤去される団地
等間隔の肋骨が
微かに軋むと
清々しい汗は
改札を抜け
昆虫の肩を叩く
月の片隅で
出会っていたら
唇は何も
呟かなかった
夜明けの待合
ただ一つの散髪が
息絶えていく
掌に残るのは
取り止めもない
ただの砂丘
(初出 R5.12.13 日本WEB詩人会)
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