永らえる夜の中で/ホロウ・シカエルボク
 
ように頷き合ってどこかへ去って行った、財布はちゃっかり頂いておいた、二人ともしこたま酒を飲んでいたのではっきり覚えていなかったけれど、確かなにか気に入らないことがあってこちらから因縁をつけたはずだった、気にならなくはなかったがせめて酒が抜けないことには考えることもままならなかった、ところで…男たち二人が立ち去ってからほとんど間を開けずに、船着き場のそばにある倉庫の中からひとつの影が現れ二人の男のあとをつけていた、不思議なほどに真っ暗い影で背格好以外なにもわからないほどだった、すすきのように左右に揺れながら歩いていた、人間の形はしていたけれど人間でないことはほぼ明らかだった、その影は凄く長い間二人の
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