黄色い砂たち/そらの珊瑚
 
「明日は黄砂が降るでしょう」
天気予報の声はAI

曇りマークのない混じりけなしの晴れマークなのに
洗車したばかりなのに
布団は干せないなあ
とか 少しばかり
黄砂のことを恨んでみる
黄砂を連れてくる風のことも恨んでみる
夜には眠ってみる
朝には錆びて咲く
人の日常

としても

砂漠の砂たちは
明日のためにひそひそと目覚めはじめ
旅立つ準備を怠らない
身軽さに磨きをかけるのは
さぞ愉しいことだろう
海を
越えて
越えて
(海中に落ちた粒々は泡という食べ物になる)
手をつなぎ
大きな
大きな
黄色い翼だけの生き物になるから
ここ
そこかしこも
私の空はまた繰り返し
もやいで
薄暮になるのだけど
咳をひとつして
(地球を懐かしんでいます)
許していた

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