さくら/
リリー
三分咲の桜が好き
と云う私に
葉桜が一番好き
と 笑った彼女
「なんで?」
ほのぼの香る色にも
一閃の青をみる
硬質感ただよう清らかさ
結婚前の彼女は答える
「あの、赤い軸が見えてるのがいいねん。」
若葉と花軸の色が織りまざって
溢れる生命力
それは未来を予知したような
胸に残る 女同士のたわいない対話
彼女は男児二人抱えて離婚し
女手ひとつ稼ぎ育てる
冬の さくらを経て
葉桜となった
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