何者でもないものの魂/瑠王
 
天井を叩いて、
カミサマの不在を確認する
開いた空の先は
主(あるじ)を失った海のよう
空っぽの海を、
深く深くのぼってゆく

つぶれそうな肺を
握りしめるように、
吐き出した言葉は
魚の群れ ひかる、チカチカと
明るい世界がある方へ
渦を巻いて沈んでゆく


地に足をつけて、
カミサマの不在を確認する
色を忘れた秋は
主(あるじ)を失った城のよう

枯れてくすぶる灯火を、
踏みしめるように
辿り着く玉座は
だれもいない 膝をついて、
あなたは今も瞳をあげない


何者でもないものの魂は
この世界に深く深く息づいている


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