地球はもうはぜてしまった/
佐々宝砂
地球はもうはぜてしまったくす玉だ。色褪せたリボン。散らばってしまった紙吹雪。蔦はどこから生えていいかわからなくなって、橋桁から橋桁にかけて危なっかしく川を渡ってゆく、川の向こうには一本のけやきがあり坂道がある。どんどんくだってゆくと鬱蒼と茂る小さな森があって、そのなかに一軒のあずまや、あずまやには一本のカラカサが立てかけられている。雨が降り出す、だれもいないはずのあずまやに、ひそひそと小さな声がお喋りするのが聞こえる。
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