尾のあるもの/岡部淳太郎
呪文は繰り返され
人でなしを次から次へと生み出し
呪文は繰り返され
それは鳥の求愛のさえずりにも似て
呪文は繰り返され
人は人でなしの道を通って人になり
呪文は繰り返され
それは蚯蚓のはらわたよりも謎めいていて
空をふりあおげば
もはや人ではありえない
葉は濡れて
根は濡れて
人ごみは鬱蒼とした森としてあり
おとこのこ
おんなのこ
たがいに頬を赤らめ
おしり むずむずする
何かが生えてくる
おしり むずむずする
何かが生えてくる
おしり むずむずする
何かが生えてくる
おしり むずむずする
何かが 何かが
(二〇〇五年五月)
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