偽り/リリー
 
 貴方の低い声に
 瞬間 止まってしまう私の心
 ポツリ と
 残った高い音

 ヒマラヤ杉が激しくゆらいで
 薄暗い講堂の辺りは
 まるで雨と風しか無く
 あの時
 何故 貴方に手をのべなかったのか!

 稚なかった
 余裕がなかった
 死んだ様になっていたのだから
 弱い私は
 目くらみ涙も出ようとしない

 遥かに 遠ざかってしまった嵐の日
 あの高い音に
 痛みは思い出されるけれど

 冬の空の下を行く
 偽りの 
 後姿、いつも自分で見たいのだ
 

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