銀河の岸の思い出より/こしごえ
 
それから
ごめんなさい
ありがとう

銀河の岸の公園にある
古びた青色のベンチに座り
星々をぼんやり
眺めていると
向こうから小鬼がやって来て
私の目の前でにっこりほほ笑み
「こんにちは。横に座っていいですか?」
と言うので、
「ああ、いいですよ」とこたえた
すると小鬼はベンチの端に
ちょこん、と座った。私は
その反対の端に座っていて
再び星々に目を移した。
ふたりはそれぞれ黙ったまま
しばらくすると
遠くの星が一つ鳴いた
「ああ、鳴いたな」
と小鬼は独り言のように小声で言った
直後に小鬼は私の方を向いて
「ぼくはあなたを知ってるよ」と言った
忘れっぽい私は驚いて小鬼をじっと見た。
銀河の星々は光っている
ずっと向こうの方で釣り鬼が
魂を一つ釣った。
思い出せない私はじっくりとして
小鬼に聞いた
「きみはどうして私を知ってるの?」
すると小鬼は優しく返した
「ぼくはあなただったんだよ」と。
銀河を
星の亡骸が一つ流れて行った





 ※ 初出 2023.10.26 14:02 日本WEB詩人会

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