風の子/犀角
 
アスファルトに挟まった砂が浮き上がる
あのぼろい看板をも凶暴に連れたつ

肌と目が痛い
嵐が服をさらおうとする
僕は立ってる事すらやっとだ

向かい風をかき分けて進む

線分上の植木がざわりと呼応する

耳元で唸る小さな竜巻
誰にも聞こえない声を歯の間から押し出す
頭頂部から、肩、腹、そして各全身で渦巻く

空気の塊を踏み越えて進む!
気付くと僕は前傾姿勢で進む!
乱れたネクタイを握って進む!
細めた目蓋に道の先を映して進む!
進む!進む!進む!

僕の感覚は理想を得たのだ!
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