よどみ/soft_machine
 
 藻いろの川に夕日がくぐると
 透明がぼんやり
 浮かびあがり
 水は流れていたのだとわかる
 落しものや誰か
 生きてるもの生きてないものに
 黒い影が時おりゆらめく

 今はまだ気持ちを保っていられる
 崩れ色した枯れ葉いちまい
 鳥が咥えあきた小枝が流され
 いつか海は
 逆光に絡めた凧を風に閉じこめた
 散歩帰りの老婆が(それとも、少女)
 胸を枯らして今を唄う

 流れに漂う
 靴かたいっぽ
 鏡のようで油のよう
 息を切って掬い零れ
 水面はいつまでも溢れ
 何処かにあるらしい
 叶うはずもない、戻らない
 ただひとつの祈り

 届きたい、でも届かない
 いつまでもちいさなみどり
 身体に挿しこまれても思い出せる一部のまま
 映した月と黒に染まる
 あらゆる水が辿りつくよどみ




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