メモ1/由比良 倖
ーの弦の、淡い金属の匂いだけだ。
僕は僕の記憶を抱きしめる。僕が今まで人間であったことの証を。窓の外には、視界の半分を覆い尽くす山が見える。あの山の向こうには自由の国があるのだと、時々想像してみる。でも実際あの山を越えても、隣の県があるだけだと知っている。
僕は宇宙に住んでいるらしい。心の中にも広大な宇宙がある。今この瞬間にも、僕の中には宇宙が拡がっているはずだ。すごく努力したら、心の底に行けるのだろうか?
2.1
文体を変える。少し比喩を使い過ぎた。
僕も歳を取った。寝不足で顔色が悪い。また三日間眠っていない。血の気が引いた顔をしているのにとても高血圧だ。焦りが
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