さなぎ/由比良 倖
昼になり、顕微鏡がガラスを叩き割る。
神は恐れて出てこない。
無邪気に僕らは時代を叩き割って遊ぶ。
何もかもを飲み込むということが、
外科手術以上にあなたを救うてだてとなるでしょう。
教えたい。私が私になった、なるべきはずの。
私が吹っかけた喧嘩で、あなたがサンタの役に回る。
私が出会う限りのものを破壊し尽くさなかったわけは、
産まれ出ることの手だてを、
知らしめたかったから。
産まれ出ることの手だてを。
鍛えられた幻には、歯の痛みも勝てない。
落ちて落ち着いたものには、もはや無機的な有物史観、しか見えません。
ですが私は、喧嘩に勝ったためしがないのです。
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