少しだけ寂しい音に/霜天
 
さらり、さらり
さら
さら
さら

もう少しで越えられそうな
海辺の砂の城が
指を折る度に
遠ざかっていく

懐かしい人の声で
ここから離れることのない
耳の奥で鳴り続ける乾いた音
気がつけば腕を組むように
近く


風に背中を押されれば
私の中の
わたしが
削られるようにして、流される
空のあの深いところ
誰も騙せないような青色に
砂の城は遠ざかる

少しずつ崩れる城の
どこかに混ざった私の声も
いつか風がやむように
越えられないまま遠ざかる


さらり、さらり
さら
さら
さら
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