出口がない/為作
 
ここには注意書きをよく読まずに入ってしまった。ここに一度入ってしまったら出られないと知ってから何年が経っただろう。出口がないこの場所も、今では色んな人の言葉で溢れ返っている。中には持ち主に捨てられて、一人ぼっちで泣いている言葉もいる。だけどここには出口がないので、誰もそんな言葉達を慰めることができないでいる。

しかしある日、出口を作ってくれるという一人の管理人が現れた。

「みなさん、出口を作ってあげるから、外に出たい人は○月○日までに申請をしてください。」

と言った。僕はとても嬉しくなった。やっと外に出れるんだ。そう思ってさっさと申請を済ませた。するとあとから、申請会場の門番みた
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