知りえようもない恍惚の槌で頭骨に築城する/菊西 夕座
雪のように白くても白は色で尻にはなれない
どれほど尻にしかれようと色は椅子ではない
白の住まう城が尻であっても尻の穴はくろい
とはいえ尻の家が白かといえばいいえだろう
白は色であり家にしろとはいえないのだから
もしも後ろから攻めるならばしり合うだろう
腰おろす椅子に席を産ませるのは定石であり
赤色灯をともして産科医に急ぎお産をすれば
空白ながらも赤子が生まれて席が赤にかかり
色と椅子が重なるからして白にも尻が座れる
こうして吸われつづける尻は後ろをうしない
雪のような白を舌に預けて腰くだけになると
椅子からもころげおちて舌から下へと悶絶し
色欲におぼれこんで前後不覚に白目をむいて
知りえようもない恍惚の槌で頭骨に築城する
はたから見ていると君という代物は破れてる
金魚をすくいそこねたポイの薄膜そっくりに
破れた白い膜はしどけなく垂れるヒレの残骸
鬱屈と逃げまわる空論を追い回すのはやめて
君という代物をこそポイと投げ捨ててしまえ
逆ねじの逆なでの逆ねじの倒錯に溺れる前に
戻る 編 削 Point(5)