一昨日後ろの僕と/アラガイs
広島では二十歳を過ぎると自分のことを(わし)という。これは三十を過ぎても六十を過ぎても変わらない。
(わし)の僕は僕という時期を過ぎても俺という呼び方が少し足らなかったような気がする。
俺、などという自分を指す言い方は広島では馬鹿にされるのだ。だった。
それでも好きな娘を前にして(わし)などという輩はよほど田舎街の出身で、そういう奴に限ってジーンズの裾を返していたりする。
僕は髪を茶色に染めパーマをかけ不良ぶっていたが、短パンに開襟のシャツを着こなさなかったので、半分なめられていたはずだ。
どうみても自分よりも弱そうな奴は無視と決め込んでいた、だけれども腕っぷしの強そうなイカツイ奴か
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)