電話線/リリー
 
 
 光陰を慕い
 陰光を慕う

 緑の吐息 その悲しみ
 深い山ひだを隠し
 川の流れをむすぶ

 だが その中に
 何を結び得よう?

 あなたの声は
 電話線のむこうに確かに在ったのに
 その距離の果しなさが
 心に痛く響いた

 何もかも遠い
 私さえ遠い

 そこに 舗道の厳しく連なり
 山は緑に突っ立ち
 光は あでやかに
 陰は 沈沈と
 永遠に相結ばれず

 涙が 電話線を伝わらないのが幸せだった


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