誰/soft_machine
街のひろがりを映した 水たまりの空が
土に吸いこまれてゆく ゆっくりと
ちぎれる雲と太陽 深い青を
夕暮れを待たず その透明を失わせ
風に押し上げられた 鳥たちの翼が
噴水の輝きに消されてゆく 帰り道
急ぎ駅に向かっているのだろう 誰かが
他の誰かを追いぬいて 違う誰かを追いかけ
一度は声を重ねた
光と光を絡ませた
誰もが 決してうずめきれないさびしさを
そっと息で お互いを測りながら
身体だけ すべてが終わったような一瞬
頂きを越えるたび
冷やされてゆく 何事もなかったかのように
そうして 街が 寝静まった頃
雨がゆっくり くだけた灰のように降る
風も同じ 子ども達の輪のように巡る
それから回転の中心が 次第に移され
気がつけば 誰もいないベンチで
ひらいた夜 まるい傘ごしの瞬き
戻る 編 削 Point(4)