青桐/リリー
 
 アオギリの葉を鳴らして
 秋がゆく
 時雨ている空にさえ
 時折 輝いている空しい灰色の雲

 風、強かったショーウインドウの前に
 私を待っていた人
 月並みな愛の言葉
 優しげに抱いて来る腕
 ちょっと洒落た服が好きな彼とは
 抱擁一つで 別れた

 その後 確信した
 肉など
 どうでも良かったのに と、

 未練を捨てている人の
 すがすがしい顔が見たい
 甘さや切なさを振り切って
 心に何もひっかからず
 そして
 生きてゆきたいと願えば

 まるで色づくアオギリの葉、
 荒々しい風の愛撫に舞い散る時
 翻る 表と裏なのか
 暖かい思いやりと冷徹な美しさがあるのだろう



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