風の舗道/リリー
 
 (案外 他愛ないおんなだった・・・。)
 ネオンの下をはなれ
 木立わたる風の舗道に来て
 男は考える

 (案外 純真な所のある男だった・・・。)
 ネオンの下をはなれ
 プラタナスなのか?
 ユリノキなのか?
 眺め見る
 女は 考える

 凍かけようとして
 決して凍りつきはしない
 秋の色 で
 唇を粧いしつつ踏み入る虚飾の道
 
 まだ 心ゆさぶり波立たせる微笑みは
 夏草繁る庭の様
 遥かにも
 遠ざかりたる月日の傷み

  深い泥沼に入りこみ
  その水滴になれば
  そこに
  美しい色を見つける事も
  出来るのだろうけれど

 風 受ける樹々、女の瞳に
 にぶく沈みて白っぽく 乾いてみえるのだった

 
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