渡り鳥/
たもつ
月の工場で生産された蝸牛が
地表に降り積もっている
渡り鳥の真似が得意なのに
飛ぶことができないわたしを
鳥たちは連れて行ってはくれない
夜明けとともに
蝸牛は溶けてしまうので
月の工場のことは誰も知らない
見ていた人も一緒に溶けていくから
語り継がれることなく
残されたわたしも溶けてなくなる
(初出 R5.8.27 日本WEB詩人会)
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