星のない夜/
リリー
野の花の 優しさが
あなた
一ふりかえり見る
広漠とした 高原の葉ずれの音に
それは
しみこみ 又はねかえり
幻影の様だった 稚い愛
北方に 連なる山はだが
私を打ち倒してしまう程
輝いていた
夏
野の花の 暗さが
あなた
交差点の街路樹に音もなく降る雨
その芯にある 冷たさに
ふと触れた 夕闇
溢れる涙
すぼまってゆく 胸の希望
星のない夜が明けて
陽のない朝が在った
稚い夢の 哀切
頼りない未練
か
ほんとうに寂しいのだと云う術もなくて
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