この夢のどこかに/ホロウ・シカエルボク
 
い生涯で最後になるだろう軋みを上げた、やがてくぐもった爆発音が聞こえ、山中にいつからか取り残されていたシアターは火達磨になった、バイクに乗って山を下りていると、けたたましいサイレンを上げながらぶっ飛ばす何台かの消防車とすれ違った、程なく火は消されるだろう、そして俺は、あのムービーのことをしばらく忘れることはないだろう、紛い物は生き返ることが出来る、けれど俺たち人間には、死ぬことは一度しか許されてはいないのだ。


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