黄色い花/リリー
 
 澄んだ山の彼方に
 何がある と
 希望して良かったのは
 遠い年代だけの事だったのか

 暗い中をぬけていくと
 ふいに光の中に出て
 あたりは竹、の林
 散りしいた藁に埋もれて
 立ちすくむ

 空はみえない
 優しい葉がしっとりと垂れている
 そのほんのすきまが
 何と明るい

 ひそやかに風渡りすぐ音
 幻の様な村里
 あまりに素朴な 野道
 どこからか柔らかな犬の声

 農家の庭先 
 側溝に沿って咲く花が
 鮮やかに 私の目にとびこんだ
 歩み寄るとウチワサボテンの黄色
 瞼の裏にまで 目眩く激しいもの押しつけた
 
 西山に 雲かかりはじめた午後
 一人帰る野の小道

 サボテンの黄色は 私の胸に
 繰り返し彩り直されながら響いていた


 
 
 
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