fragile/医ヰ嶋蠱毒
貴方の闇を華に喩えて
恐ろしい獣の瞳孔が披く
「臓腑まで愛して」
「血溜まりが綺麗ね」
明晰な頭脳は貪られ
血涙を流し青褪める私の頬
姿見の陰
アイスピックを握る掌の下で
密やかに秘技は執行される
凍結した冬の祭壇
鋭利な背骨へ
捧げられる数多の夢々を
手遊びに狩る痩せた妖精の仔ら
腫れあがる噛み跡から
甘い匂いが滲み出す頃の
青い依存症
硝子を砕き
貴方を模倣て人形を造ろう
刃物にも似た細い鼻梁と
月蝕のような眼窩を刻み
鬣を揺らす歪なツガイ
虫籠の裡で
天使の標本は挽歌を唄う
フラジャイル、壊物の貴方
左胸に仮留めされた
偽りの拍動を確かめてから
薔薇の花弁を口移しして
抉られたばかりの少年の眸を嵌め
静謐へ沈む小夜啼鳥の
嫋やかな白い神経が鳴る
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