雪女3/リリー
 
 雪の降りかかるままに
 歩きましょうね
 盛り場の よるを

 あなたって
 良い人なのね
 でも 名さえ知らない

 ネオンの下で
 装って笑う
 そぞろ歩きは
 そぞろ歩きが楽しくて

 木立の見える舗道に来て
 木蔭のベンチで触れ合った唇は
 官能だけが感じ取り

 甘い酒をのむ時は
 酒だけが
 女を 酔わせていた
 只、それだけ

 街の角で ふと女は呟くのです

 雪のふる
 はるかな国の
 果てない広野に
 心を埋めてこよう
 
 未練や
 しっとばかりが
 赤黒く燃えさかる
 心を埋めてこよう

 凍える指に
 空の彼方を
 しっかり指さし
 ぬけがらの
 わたしをいたわって
 ほのぼのと暖かい涙を流そう

    ??

  雪のふる

  ネオンの下を

  明るく生き生きと歩く女の笑いが

 遠い 阿寒湖に咲く冬の華の
 穏やかな 悲しみの様であるとは
 誰も知らない事だった


戻る   Point(2)