終わらない夏休み/atsuchan69
砂粒がかがやくと
水際はふたたび沈んだ
土用の波が音をたてて崩れる
台風前の静けさが
妖しい雲に包まれていた
あの賑わいは、
もうない
貸しボートも
焼きそばも
かき氷もやっていない
誰もいない砂浜は夏の終わり
ドドドドーンと海が騒いだ
ついこないだまで、
セレブな麦わら帽子を被った
東京から来たお姉ちゃんと
原宿のような賑わいの
焼けた砂のビーチを歩いたのだ
宿題はやっていない
図画も、
工作もやっていない
なぜか毎年のことだった
夜はお姉ちゃんと寝た
リネンの肌掛け布団のなかで
ボクと嫁入り前のお姉ちゃんは、
寝苦しく幾度も寝
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