Transit Time/ホロウ・シカエルボク
ことが出来た、今夜はここに泊まることにした、歩き続けてクタクタだった、小さなリュックを下ろし、寝袋を出して横になるとあっという間に眠っていた―周囲の空気がとてつもなく昂っているのを感じて目を覚ますともう朝だった、海から昇った太陽が真直ぐに、大木のような眩しい光をぼくの居る部屋にぶち込んでいた、ああ、とぼくは思わず声を漏らした、ぼくの人生だって空っぽに違いないのだ、だけどこうして、とんでもない朝に包まれることだって、出来るのだ、まるで海が破裂しているみたいだった、世界はいつだってぶっ飛んでいる、ぼくらだけがつまらなく忙しなく、毎日を切り刻みながら生きているに過ぎないのだ。
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