野ばらの記憶/
リリー
熱砂 と
真空
ごう音と
死の静寂
閃光 と
奈落
重々しい
数十万の足音が
はてもなく続いて行く
銃をかつぎ
一すじの乱れもなく
声もなく 唇はかたくとざされ
光もなく 瞳は一点によせられ
一度 消えたと思ったのだが
又 幻の様に
その行進の列は
地から生まれて
蒼空へ と
一すじに続いて行く
さまよう 魂は
新月の闇に
かえるべき宿を見失う
野ばら よ
お前の情熱にも
きっと
この無言の重みは堪え切れないのだろう
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