偶感[まち角21]/リリー
小学二年生ぐらいかな?
道幅いっぱい 横並ぶ
かしましい女の子らの
背後にピッタリくっ付き
駅へ向かう
なんだろう?
ラップかな?
彼女達の口から繰り返し
飛びだす言葉
「無敵のバナナ。」
歌詞ではないのか?
リズミカルに節のついた
「無、敵の、バナナッ。」
三人は国道へ出ると
「バイバーイ!」
横断歩道に一人を残して
大人の列に混ざった子は足をはやめ
通りへ消える
それを見送って立ち止まり
ショルダーバッグからiPadを出すと
すかさず検索
(無敵のバナナ)を
宇宙人語 の様だった
彼女たちの楽しげな世界は
『ドラクエビルダーズ2』
というゲームソフトだとだけ
分かり なんというか
さっぱり
のみこめず
夏休み中の京阪電車
帰宅時の車輌は人も少なく
シートへ身を預けると
急に 気だるい眠気が襲ってきた
戻る 編 削 Point(3)