橋/リリー
 
 未だ 秋は
 何処に居るかも解らない季節なのに
 あなたが別れよう という

 緑と
 白と
 二色に色分けた水が流れる

 橋に立てば
 上流にまわる水車
 そして
 長く流れる友禅の布

 深い深い緑の
 まるで こわい葉から滴り落ちる水滴が
 鮮血のなみだとなって
 私の胸を貫き

 夢を捨てて生きる女と
 現実を捨てて生きる男と
 ためらいがちに去る
 京の風


  影だけが
  橋を わたり
  何故に寄り添い
  ほそく消ゆ



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