猛暑/
千波 一也
猛暑とよばれる森のなかで
わたしはいつしか
魚になった
あまりに場違いな
魚になった
だれも皆
自らの汗を拭うことに
気をとられ過ぎているから
辺りはいっそう
潮にまみれて
森の面影など
とうにない
それでも明白に
わたしは場違いだったから
泣いてしまいたかった
海のなかなら
間違いなく泣けていたけれど
ここは海ではなかったから
干からびてゆくのだろう
わたしも近く
猛暑とよばれる森のなかで
疑念の一切を
諦めながら
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