風のシネマ/soft_machine
田舎のビルでみた 踊り場 シネマ
月光 スクリーン 古びた壁に
主人公、現わる とある風
恋は またたく間に想いを伝え
うかれ気分を流れに運び去られても
次の季節に 誘われ飽きない
ほんとうは自分から
勝手にその場を飛び去っているだけ なのに
振られちまった って、いつも勘違い
歓客は 窓にもなれた虫たち
風の気持ちを 翅にくぐらせ
エンドロールもない
影が移って フィルムが切れても
いつまでもその場から剥がれようとはせず
ただ静かに お互いの触覚を確かめあい
何かの聲を待った
鳴きもせず
どうして
こんなに 淡いの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)