緑葉/Giovanni
炎天厳しい8月
森の木々はまっすぐと
燃える円球のような日へと
ごつごつした両手を伸ばす
枝が大事そうに抱える緑葉は
ああ 体に新しい力を抱いた
小さいお前そのものだ
それは決して激しくはない
雄弁でもない 巧んでもいない
それは ちょうど
冬を忍んで耐え行くしぶとさとか
焦土の赤土から芽吹いた双葉とか
私たちがかつて誰しもがもっていたはずの何か
それなのに いつか大人になって忘れてしまう何か
強くしぶとく大きくなって
お前の道を急がずに行けよ
緑葉よ
愛しいものよ
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