アイソニアの騎士、立つ(十二)/朧月夜
「お前が慌てたとて、何が進展するわけでもあるまい、グーリガン」
「王よ、イリアスはこの度の戦争には関わりありません。
わたしが救い出さなくてはいけないのです」
「それは先ほども聞いた。それが、戦線を離脱する理由になるのか?」
「理由は……わたし個人のものですが、
この戦いにも関与するものだと思われます、王よ」
「それは、お前個人の問題であろう。
彼奴らは、イリアスという女の身柄がアースランテの未来を左右するものだと、
そんなほのめかしをしてきた。お前自身の身柄も絡んでいる」
「わたしが?」アイソニアの騎士は眉根を寄せて問うた。
「そうだ。お前はこの国だけでなく、クールラントとも深く関わっている」
「それは確かです。ですが、わたしはアースランテを裏切りません!」
「そう願っている。だが、お前は今すぐ戦線に復帰するつもりはないのであろう?」
「いいえ! イリアスの身の安全が確保されれば、今すぐにでも!」
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