アイソニアの騎士、立つ(十)/朧月夜
アイソニアの騎士は、ヨランを伴って、
アースランテの首都ハンザガルテに次元跳躍をした。
「また再びこの国へと戻ってきたか……。俺はよほど、
この土地にがんじがらめであるらしい」
そんなアイソニアの騎士を、ヨランは冷めた目で見つめた。
(今ごろ、エインスベル様は戦争の回避、いや早期終結に向けた
方策を練っているに違いない。だが、このアイソニアの騎士は、
ただ自分の恋心だけに浮かれている……世界の行く末など見もせずに)
それは、かつてのアイソニアの騎士には見られないような姿だった。
アイソニアの騎士は、良き方向に変わったのか、それとも悪しき方向に変わったのか。
……ヨランは悩むのだった。
「さあ、これから王宮に向かおう。ハッジズ様に、
イリアスがこの場を訪れなかったかどうか、問いただすのだ」
「そんなに上手く行きますかどうか……」ヨランは首を傾けながら言った。
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